瑞牆山 登山 空海が刻む神秘のカンマンボロンと水の峰

瑞牆山 登山 空海が刻む神秘のカンマンボロンと水の峰

カンマンボロンって知ってるかい?

瑞牆山の山頂直下、みずがき山自然公園から廃道になった登山道を辿って行くと、弘法大師がカンマンボロン(大日如来という意味)と梵字を刻んだ岩壁があるって言うぜ…。

見つけに行ってみないかい?

 

さあ、宝探しの始まりだァ!

 

 

山梨県北杜市の瑞牆山(みずがきやま)に登ってきました。

古くから信仰の山として知られ、山頂からは富士山、八ヶ岳、南アルプス、金峰山の大パノラマが広がる眺望に優れた山です。

 

カンマンボロンコースは廃道とは言え、ヤマレコやYAMAPなんかでレコがアップされてるのを結構見かけるから、多くの人に歩かれてて踏み跡はバッチリ。ピンクのテープやペイントも多くて迷いにくいと思う。

 

瑞牆山は真冬にしか登ったことが無かったので、無雪期に登りたい山の筆頭でした。

山の名から「水」をイメージしてましたが、イメージ通り水が豊富な山で、沢を流れる清流と滝、潤った森の緑がとても綺麗でした。

今回下山で歩いた不動滝コースは人も少ないし、単調な富士見平小屋からのルートに比べると歩いてる過程が楽しいルートだったのでお薦めです。

 

瑞牆山は標高2,230m。日本百名山。奇岩怪石が特徴的な奥秩父の名峰です。

いざっ!

 

ルートとコースタイム

■2020年8月16日 ※カッコ内のコースタイムは、カンマンボロン登山口〜一般登山道と合流するまでは廃道のため実測値。それ以外は標準コースタイム。

登山口⇒(60分)⇒カンマンボロン⇒(60分)⇒一般登山道合流⇒(20分)⇒山頂⇒(80分)⇒不動滝⇒(55分)⇒林道終点ポイント⇒(30分)⇒みずがき山自然公園

コースタイム:6時間05分

総距離 8キロ
単純標高差 780m
累積上り 1,007m

 

瑞牆山登山 本編

みずがき山自然公園駐車場からカンマンボロン登山口へ

前夜にみずがき山自然公園キャンプ場の駐車場に着くと満点の星空がお出迎え。

肉眼でも天の川が確認できるクリアな夜空に明日の晴れを確信。

 

そして翌朝。

8月中旬。東京では連日猛暑日を記録してるけど山麓の朝方は寒かった。20℃は下回ってたんじゃないかな。

上着を着て、半分眠りながらのんびり準備する。登山の朝は全然目が覚めない。。

 

みずがき山自然公園キャンプ場だけにトイレや炊事場もあって前日入りするには最高の環境が揃っている。

寝起きにあったかいコーヒーを自販機で買えるってのも有り難い。

 

車中泊ではなくてテント張って寝ることもできるしね。

 

みずかき山自然公園から歩いて10分ほど。カンマンボロンコースの登山口がでてきた。

案内の地図が豪快にぶっ倒れてるのと、登山口の向かい側に5台ほど止められる路肩スペースがあるのが目印。

 

いよいよ始まる冒険

倒れてる案内図にはしっかりカンマンボロンのマークが!

分かりやすく黄色で囲ってみた。ほんとにこんな世界があるなんて・・めっちゃ面白い!

 

さあ、廃道に一歩踏み出そうぜ。

いきなりだけど、ここは右へ行くボロン。

ココとカンマンボロン直下の分岐を間違わなければこのルートは大丈夫。特に危険なところもないボロンね。

 

右を見れば沢が流れる。

朝のひんやりした森。しかもこのコースは、西側斜面を登っていくため稜線に出るまではずっと日陰を歩けるという利点もあって、真夏でも涼しい。

最初は上着を羽織って歩いてたけど、20分ほどでようやく眠気も覚め、体も温まり半袖になった。

今日はなるべく汗をかかない様にコースタイムより遅く緩慢に歩くつもりボロン。

 

神聖な場所へ向かう高揚感。カンマンボロンはこの山奥にあると思うとドキドキする。

最初は廃道と聞いて、手探りで激ヤブを掻き分けていくやばい所があるんじゃないかと心配だったけど、目印のリボンや赤のペイントは至るところにあるし安心して歩ける。

 

瑞牆山らしく岩場がちらほら出てくる。

 

登り始めからずーっと原生林の森が続き気持ちが良い。

汗をかかない鈍ペースでもりもり登っていく。

登山口からカンマンボロンまでは約1時間。

 

ケルンもあるボロンね。

 

こんな歩きやすいトレイルが続くから、だら〜っと道なりに進んでしまいがちだけど、左手に巨大な岩の壁が出てきたら左を注視しながら登るべし!

 

さあここだ!やっとここまで来た。

特徴的なのは左手の岩壁の上部が割れている点。それに1本の枯れ木。これを目印に岩壁方面への踏み跡を探すぼろん!

奥秩父の山奥の岩壁にあるというカンマンボロンはパワースポットであることは間違いないだろうね。

霊的で文化的で歴史的な場所が目の前だという興奮を隠さず、フゴーフゴー登っていく。

 

分かり易いトレイルを見つけられて心の隅で安堵する。ぐえっへっへっへ、待ってろよボロンめぇ~

最初は信じてなかったけど、もし、目当てのカンマンボロンが本当に弘法大師が彫ったものならばそんな気軽に見てはいけないものなのかもしれないと、今更ながら畏怖を感じる。ぐえっへっへっへ、とか言っておきながら。

 

急坂を登りきって、この洞窟の様になった細い岩と岩の隙間を抜ければ、空海が彫った奇跡を目の当たりにできる!

んんっ。んぐっ。カメラが岩に当たらない様に気をつけながらくぐってるとアゴをこすった。自分のアゴの奥行きが計算できなかった。

 

神秘のカンマンボロン

おおぉぉぉおおおー!!!

こ、これだーーー!!!!!

カンマンボロン!

 

す、すごい。ほんとに不思議な形をしてる。ここは間違いなくパワースポットだ!

 

これを見た瞬間、自分は呼吸することを忘れていた・・・とか言ってみたい。この日は腹を下しててこのタイミングで猛烈な腹痛が襲ってくるという最悪な巡り合わせ。青ざめた顔で虫の息となってしまったのだ。

神聖な場所に着くなり畏敬の念に襲われ青ざめたとでも言っておこう。

 

 

「長い時を経て風雨が侵食してできた模様でしょ?」なんて言わない!!あちき言わない!!

 

しかし、もし仮に自然が造り上げたものだとしたら、むしろそっちの方が神秘的やしないか?

人為的にカンマンボロンって彫るよりも、はるかに。

そして、伝説通りもし空海がここを霊場としてカンマンボロンと彫ったとするならば、それは重要文化財として保護すべき価値があるものでしょう。

いずれにしても、大変貴重な物を見に来られたんだと思うことにしよう。こりゃまさに宝だよ。

もし数年後、この場所が脚光を浴びて立ち入りが制限されるような事があれば今日来れたことに感謝しなきゃ。

 

梵字ってさっぱり分からないけど、弘法大師は梵字が読めたんだね。

今更だけど、、弘法大師って空海のことだったんだね(笑)

 

 

空海様、見っけ。

腹下しは少しおさまった。

 

日陰ロードで瑞牆山の山頂へ

カンマンボロンで腹痛が治るまでしばらく待ってしばらく神秘的な空気感を楽しみ、パワーをもらったら瑞牆山の山頂目指して登山開始。

瑞牆山は景色が良かった記憶があるから楽しみっ!

でも一般ルートと合流するまでここから1時間は歩かなくてはいけないんだけどね。

 

あまり見たことのないキノコ。

 

こんなところにも梵字が!

 

迫力を増す瑞牆山の景観。

すぐ隣の金峰山にも冬しか登ったことないから、いつか無雪期に歩いてみたいと思ってるけど、きっとこんな風に冬には見つけられなかった発見に溢れてるんだろうな。

 

カントウヨメナ。

 

相変わらずピンクリボンやペイントは多くて助かる。整備して下さった方々に感謝です。

 

今更だけど梵字なんて読めないから、果たしてあれでカンマンボロンって書いてあるのかなんて分からない。

先日ヤフーニュースで見た、薄毛な人ほどコロナで重症化する率が高いと同じぐらい真実は分からない。

 

ずーっと西側斜面を歩いてきたけど、ここでやっと南側の景色が開けた。

とは言えまだ朝の7時を少し回ったぐらいの時間だから日影なんたけどね。

 

岩と岩の隙間から富士山も見えた!雲一つない!

やっぱり奥秩父ば富士山抜きでは語れない。

山頂からの景色に期待が膨らむ。今日はカンマンボロンも見れたし、山頂からの景色にも恵まれたら最高の一日になるよこりゃ。

 

シャクナゲの葉っぱにこんな餅みたいな物がたくさん付いてたけどなんだろ?

 

帰ってから調べてみたら「もち病」だって。自然界もいろいろ患ってんなー

 

完璧な晴れ。

園児にも分かる。向こう側は東側斜面だ!

 

人見知りな自分に似つかわしく、ここまでずーっと日影を歩んできたぜぃ。

そろそろ日光を浴びることを許してもらえるのねん。

 

おいおい!日影の人間は駄目だ駄目だー!ここをまたぐことは許さんっ!

まさかの通せんぼのロープを食らう。

 

通せんぼは軽くまたぎ、ここで一般ルートと合流。

ここから一気に登山者が増える。真夏だからみんな朝が早い。

 

大ヤスリ岩が見えた。もう山頂はすぐそこ。

 

それまでの廃道の方が遥かになだらかで歩きやすいという事実…。

このアスレチックなコースが瑞牆山の真骨頂ではあるんだけど。

瑞牆山の良さは見どころ豊富で歩いてて飽きさせないところだろうね。。

 

山頂への分岐。

ちなみに下山ではここを不動滝方面へ帰ることになるから気をつけなきゃね。

 

難易度低めの鎖場とハシゴを越えれば…

 

大展望の山頂

一気に開けた!

ほいっ、山頂いただきましたー!

 

眼下に見える大ヤスリ岩がとにかく印象的!

遠くに見える山並みは南アルプス。

 

そして富士山!

奥秩父の山といえばやはり富士山を抜いて語れない。

 

こちらは金峰山。稜線に五丈岩も見える。

 

富士山を見てガッツポーズをする弘法大師。

カンマンボロンばんざーい!

 

こっちは八ヶ岳。なんとまあ贅沢な眺めなのか。

 

パノラマ撮影に代表的な山を記載してみたけど、

富士山は書かなくても分かるな。

 

 

富士山、南アルプス北部の山々、八ヶ岳の大パノラマは瑞牆山の専売特許でしょう。

富士山は書く必要なかったな。

 

さて、カロリーゼロのドーナツをいただくとしましょう。

 

食後は横になって昼寝をするのも良し。直射日光が眩しいし、こんがり日焼けすること間違いなしでしょう。

5分で「暑ぢぃー!!!」と汗だくで跳ね起き、しばらく八ヶ岳をぼーっと眺めてました。

 

不動滝コースでゲッザーン

眠気も覚めてきたところで山頂の祠に別れを告げて下山開始。

 

富士見平へは左。今回は小川山林道方面と書かれた不動滝経由で下山します。

 

不動滝コースに行くと、途端に登山者が減るからのんびり写真撮影ができていい感じ。

 

クーラー岩なるところがでてきた。

 

おおー!涼しい!夏の登山にこりゃたまらん!

 

岩場に差し掛かると、掴むのに丁度よい位置にあった木が多くの登山者によってツルツルに磨かれてた。

 

このコースは原生林の森がとにかく綺麗たった。

すぐ隣が八ヶ岳だけに植生も似てる。

 

大きな岩の間を抜ける。

 

森に日が射すと思わず足を止める美しさ。

実際ここではご高齢の方に抜かれ、あっという間に振り切られた。急ぐともったいないって。

 

水の山の真骨頂

沢を流れる水が集まり、少しずつ大きな流れになっていく。

 

不動滝に到着。ここで一休みしましょう。

 

ぬおおおおーーー!!!

滝と言えば打たれるという選択肢しか持ってない。ここは修験者になりきって首がむち打ちになるまで打たれるべし!

 

水が豊富な山。

至るところに流れが生まれ、そんな水の流れに沿って歩いていくから涼しいし森も瑞々しい。

 

途中、ボルダリングで有名な小川山が右手に見えたり岩壁が次々と出てきたり見どころの多い山。

 

突然駐車場に出た。不動滝ルートでピストンするならここが便利なんだね。

 

ここからはえっちらおっちら。

車も走れる整備された道を呑気に歩くだけだから、すっかり油断しきってたよ。

そう、下山後に自分へのご褒美だと言い訳し、コンビニスウィーツを物色し、うーんでもアイスも捨てがたいなーとクールクーラークーリッシュとケーキのコラボだー!とカロリーの祭典をおっ始めてしまうぐらい油断していた。

 

ぎゃああぁぉぁぁぁあああーー!!!

ケツがぁ!!ケツがぁーーー!!!

 

油断していた自分に襲い掛かる冷たさ。

つ、冷たいっ!!!

 

ズボンもパンツまで絞れるぐらいびっちょりだ!!

 

なぜ?

さっき頭から滝を受けた時にケツも行水したっけ?

いや、違う。ぜったい違う。

 

ぬおぉぉぉおーー!!

ザックを下ろしてみると、まるで小便小僧が描く優雅な放物線の様にハイドレーションから一筋の放水が…。

 

ハイドレーションの耐久性ってこんなもんなの?まだ5年ぐらいしか使ってないよ。

 

まさか、滝に打たれた後もザックの中で執拗にケツ目掛けて放水を受け続けていたという事実。

 

やっぱ瑞牆山は「水」の山だな!とパンツまでびっちょり濡らしつつ改めて瑞牆山の奥深さを身をもって体験。

 

オーマイガッ。

ザックの中身は全滅。こんなに水を吸収して重いレインウエア見たことないぜー。

洗濯機で洗って脱水してない時と同じ状態ね。

 

屈むと絞れて滴り落ちる濡れっぷりに、もはや手の施しようがないことを悟る。

とにかくびちょびちょの荷物を抱えて帰らねばならぬ。

いい年しておもらしした気分で歩けるなんて、ここまで瑞牆山を堪能できて、幸せ者だなぁ〜ぼくぁ〜

 

 

この分岐を芝生広場方面へ。

いい大人だからあちき泣かない。

 

おケツがぐっちょりの違和感さえ無ければ気持ちの良い芝生ロード。

クライミングにやって来た方々とすれ違う時だって、彼ら以上の緊張感を漂わせて歩く中年オヤジ。

 

気持ちが乗ってこないけど、もはや義務だからと虚ろな目で花に止まるアサギマダラを激写。

 

この強烈な日差しならすぐ乾くかもな。

8月の日差しが有り難い。これが秋なら風邪ひいてたわ。

コロナと疑われるから絶対に風邪が引けないのが最近の悩み。むせて咳き込んだだけで罪人みたいな目で見られるからね。恐ろしい世の中になったもんだ。

 

そして乾く間も無く、あっという間にゴール。

みずがき山自然公園に着いて尚、絞れる状態だった。。

 

 

着替えは持って来てたから、さくっと着替えて公園内のお土産を物色。いつものことだけど見て楽しむだけで買わない徹底ぶり。

 

温泉の帰りに野辺山の牛乳工場がある南牧村農畜産物直売所に立ち寄ってジャージー牛のむヨーグルトを買って帰ったよ。

これは絶対買う価値アリ!

振り返って

瑞牆山は岩の山であり、水の山であり、カンマンボロンというパワースポット抱く山でした。この3点は登山前に絶対に知っておきたいポイントです。

多くの人が初めて瑞牆山に登る時に選択するのが富士見平小屋を起点にした金峰山との欲張り一泊プランだと思います。そのプランの次は、ぜひ今回紹介したコースを歩いてみて下さい。

ちょっとした冒険が待ってるよ!

 

少ないお小遣いでやりくりして何とか買ったハイドレーションが5年で穴が空いてしまったショックは癒えない。当分ショックを引きずると思う。つか、なんとかして修理したい。うまくいったらまたご報告しますっ!

 

それにしても今回の瑞牆山は期待以上に良かった。

まさに水の山。おもらししたって許される山なのよ。

 

古くから信仰の山として、修験者の修行跡が残ってたり、空海開山伝説が残る山。

岩に刻まれた梵字は雨ざらしだし、ヤマレコとか見てると一部の登山者が梵字によじ登ったりしてるし、保存という観点で不穏な危うさを感じる。急いで見に行かねばっ!

 

ではでは


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