宝満山 登山(猫谷川〜大谷尾根) 時代の変わり目に人気の山の裏ルートを歩く

宝満山 登山(猫谷川〜大谷尾根) 時代の変わり目に人気の山の裏ルートを歩く

 

2019年4月29日。福岡県太宰府にある宝満山に登ってきました。

福岡で1番登山客の多い宝満山には「裏宝満山」という人知れず静かな山歩きができるルートが存在することをご存知でしょうか?

今回はそんないくつかある裏ルートの中から、上りは猫谷川新道ルート、通称「キャット」。下りは大谷尾根ルート、通称「翔平ルート」の二刀流でご紹介したいと思います。あしからず。

実はここ宝満山は以前、竈門神社(かまどじんじゃ)からの表ルートで登って、ひたすら続く石段にバテバテになり「もう二度と登らない!」と完敗を喫した山。しかも雨だったし。

そんな残念な思いが少し引っかかってて「今日は宝満山の良い所を探す旅」という命題を立てて、再訪してきました。

その甲斐あって、静かな山歩きができる裏ルートを知ることができました。

 

では、裏宝満山登山のポイントです。

裏宝満山登山のポイント

①ルートが豊富。

②登山客が少なく静かに楽しめる。

③バスでのアクセスがお薦め

かなり簡単に書いてしまったので補足します。

今回歩いたのは登りが猫谷川新道ルート、下りが大谷尾根ルート。裏宝満山にはそれ以外にも「かもしか新道」、「かもしか旧道」、「シラハケ尾根」、「堤谷ルート」などがあります。

登りで歩いた猫谷川ルートは途中からルート不明瞭な箇所が多く、ルートファインディングの経験がある人にしか薦められない上級者コースです。雨が降ったりするとルートが変わるらしく、ヤマップの地図は当てになりません。登山客が少なく踏み跡も探せない。よくて破線ルート、途中からはバリエーションルートと言って良いレベルだと思いました。

下山は大谷尾根ルート。このルートは踏み跡も多く分かりやすかったし、危険箇所もないため、里山らしい登山が好きな方にぜひお薦めしたいルートです。

筑紫野バスの宝満山登山口バス停のアクセスも良いので、大谷尾根ルートで登り、こちらも歩きやすいとされるシラハケ尾根ルートで下山するコースも良いと思います。

他にもかもしか新道、堤谷ルートがありますが猫谷川ルートと同じく難路みたいです。ご興味あれば是非トライしてみてください。

 

宝満山は標高829m。福岡で登山客が最も多い山として知られる九州百名山です。

思いがけず大変な登山になってしまったけど、表ルートに比べたらこっちの方が自分は好みでした。

いざっ

 

アクセス

まずは「安楽寺」を目指して、宝満山登山口まで標識に従って進んでください

安楽寺の住所と電話番号
住所:福岡県筑紫野市本道寺113
TEL:092-925-3040

ルートとコースタイム

■2019年4月28日

登山口⇒(135分)⇒山頂⇒(70分)⇒登山口

標準コースタイム:3時間25分。

■活動距離5.4キロ
■累積標高上り756m

 

裏宝満山登山 本編

猫谷川新道から山頂へ

宝満山への移動途中、車で通った太宰府政庁前です。

朝早いからまだ人は少ないけど令和フィーバーで連日にぎわってるみたいです。

 

冒頭でバスでのアクセスが良いと書いておきながら車でやって来てます。

九州国立博物館の前を通り更に奥へ奥へ。安楽寺方面へ脇道に入れば裏側の登山口へ案内が出てきます。適当な案内でスミマセン、

カーナビで安楽寺に設定してやって来るといいです。

 

登山口前の林道はこんな感じで路肩に数台止められる所があります。ここ以外にも大石の宝満山登山口バス停前に5台ほど停められるスペースがあるみたいです。

やはりバスでのアクセスが無難かも。。

今日はここから登山開始。

 

登山口まで林道を歩きますが、2〜300mってとこです。

 

猫谷川新道の登山口、通称「キャット」に着きました。

「キャット」って名付けてやったぜ!、と安易なことを考えてる自分には予想だにしない試練の幕が切って下ろされる。

 

ビビるわー。

登山口に長年放置されてるであろうヘルメットの演出に、ビビリの自分は「ちょっとなに、そんなに危険なの!?」と、いきなりキャッとさせられる。

はい、ごめんなさい。

 

とにかく行きまひょっ!

スタートはたくさん踏まれててトレイル明瞭。

「思ったより歩かれてるなー」とこの時はそう思っていたわけよ。

 

早速、沢と合流します。これが猫谷川ってやつか。。

猫なんかどこにもおらんぞ。

 

標高が低いからあっという間に2合目に着きました。ここで左に行けば大谷尾根ルートに合流します。右が猫谷川満喫コース。

というわけで「あちき別に登山に冒険は求めない!」という方はここで歩きやすい大谷尾根へ行って下さい。

私は猫との合流を求め右へ。犬派ですが右へ。

 

この時期、低山ではお馴染みのシャガが咲いてます。

 

猫谷川ルートには滝がいっぱい。

 

ピンクリボンは多いんだけど、岩にペイントされた赤い矢印は消えかけてるものが多く、2合目の大谷尾根との分岐を過ぎてから踏み跡は極端に減り、全体的にルート不明瞭です。

 

頻繁に滝が出てきます。

水量が少ない感じです。

 

また滝。

今年の九州は梅雨で取り戻さないと大規模な節水になりそうです。

 

たまに新緑。

うーん、宝満山は表も裏も眺望ゼロの樹林帯エンドレス。でもどうせ登るなら石段がない裏ルートのほうがよっぽどいいな。

 

椿がたくさん散ってました。

この先、ルートを示す赤いテープとこの椿を何度も見間違えるというブービートラップに苦しめられる。

キャットめ〜

 

ロープもちょいちょい出てきます。

難易度は低めなのでご安心を。

 

はい、また滝。

もう滝の写真ではなく標識だけにしました。水量少ないし。

 

「人っ子一人おらん」という沢をぐいぐい登っていきます。

静かな山歩きというか、表ルートの喧騒に比べここまでギャップがあるとは流石にびっくりです。

 

岩がゴロゴロしてるところをずっと登ってきましたが、もっと岩がゴロゴロしてる庭石荘(ていせきそう)に着きました。

ここも見所の1つみたいですが、特に全体の写真も撮らずパスして先へ行きます。

この先も岩だらけです。

 

矢印を探して岩をガツガツ乗り越えて行きますが、矢印のペイントが薄くて本当見つからない。この写真はまだハッキリ見えるペイントを載せてるけど、こんな簡単じゃなかったな。

ルートファインディングする様に登っていくとこんな所に矢印あった、みたいな感じ。あまり多くの人には薦められるルートではないかなぁ。

 

こんな岩場の下を歩いて行きます。崩れてこないか心配したけど、人が削った感じだなと思ってると、

 

仏様見っけ。猫様ではないのね。

 

「なんだよ!ツバキかよ!」

これです。ツバキによるブービートラップにまんまと引っ掛かるわけよ。

キャットとの仁義なき騙し合い。

 

カレー味のキノコ。

騙されないぞ!食べるものか!

 

山頂/釣船岩方面へ進みますが、この先、一気にルートが不明瞭となり迷いまくります。

 

ここまでは良かった。左の木に書かれた白い矢印に従って左へ折れると大きな岩に阻まれて、それを無理に越えてもどうにもこうにもルートが見つからない。

 

岩を左に巻いて登って行くと再び沢に出てしまう。ここを登り詰めることもできなくはないが、、ここはルートではないです。

 

ルートから外れて、迷って迷って、へたり込んだ沢からは麓の景色がよく見えました。

なんだ、宝満山にも景色見られるとこあったんだな。。

でももう何分彷徨ってんだか。今日はもう撤退になるかもしれないなぁ。何度も行ったり来たりしたけど、もう一度冷静に考えてみよう。

 

再び大きな岩を登ってみてもやっぱりこんな感じでルートに行き詰まる。ここじゃないわけよ。

YAMAPに記載されたルートはもはや当てにならない。

 

と言うわけでまだ足を向けてなかった右へ右へと、大きな岩を右から巻くように歩いてみると、なんとなく行けそうな感じ。

 

おっ!あったあった!

撤退しなくて良かったよ!ここが釣船岩ね。

 

もうここまで来ればキャンプ場の避難小屋まではすぐです。こんな「どこがルートなん?」って所でも先ほどまで迷ってた区間に比べたら全然マシ。楽勝です。

 

さつまいもキャラメル食べて最後の登りを頑張るばい。

 

8合目までやってきました。ここは金の水という水場と山頂方面の分岐点。

水場には寄らぬぞ。前回ぜんっぜん楽しめなかった雨の宝満山を取り返すためにやってきた自分にとって、山頂以外に目指すところはないのだ!

 

大谷尾根ルートと合流しました。

なかなか手を焼いたぜキャット!

結局何が猫なのかは分からずじまいだけど猫谷川ルートおしまいね!

 

そして前方に本日記念すべき第1登山客を発見。大谷尾根を登ってきたと思われます。

 

大賑わいのキャンプ場と山頂

すっごい人!!

急に現れた登山客の多さにさすが福岡1の人気の山といった感じ。

ここはテントもできるし、避難小屋に泊まることだってできます。山岳テント入門の場に良いと評判だけど、自分は最初のテントなら断然坊ガツルを薦めちゃいますね。法華院温泉で温泉入れるし、炊事場だってあるし、小屋の自販機でビールだって買えるんですよ。ビール飲まないけど!

でもここも広くて気持ちの良いところではありますね!

 

シャクナゲが咲いてました。

考えてみれば今年初のシャクナゲです。

 

さあ最後の鎖場を登れば山頂!

キャットに苦労させられた分、宝満山の山頂が特別な場所に感じる。

 

着きました!

散々道に迷ったけど、標高差はたった600mぐらいだし体力的には余裕です。

前回はあの奥社で雨宿りしながらお昼を食べてすぐ下山したんだった。

 

山頂はどこも登山客でいっぱい。

どこに腰をかけようかなーと、うろつきながら前回は雨でできなかった撮影を楽しむ。

 

宝満山の豊満な樹林帯によって眺めを遮断されてたから、開放って感じ!

少し霞んでるのは春だから仕方ない。これでもマシな方だよ!

 

こっちは・・・うーん、どっち方面の眺めだったか失念してしまいましたが、、OK、素晴らしい眺めです。

 

宝満山のすぐ隣の仏頂山です。宝満山と簡単に縦走ができて、しかも実は向こうの方が40mほど標高は高い。

 

福岡市方面。霞んで分かりにくいけど博多湾が遠くに見えます。

 

「平成最後に平成復刻版の菓子パンをいただくぜ!」

次から次へと登山客が上がってきます。長居しては申し訳ないからちゃちゃっと食べて移動します。

せっかく登ったけど、山頂は狭いからね。頑張って登った子どもたちには良い場所を譲ってゆっくり景色を楽しんでもらいたい。

 

再びキャンプ場です。

このキャンプ場を経由して表ルートの登山口である竈門神社に下ることができるため多くの登山客で賑わってます。

 

避難小屋の中に入ると、宿泊、休憩心得が書かれてました。

宿泊するなら500円かかります。

テント泊は無料だなんて優しいよ宝満山!

 

大谷尾根ルートで下山

大谷尾根ルートで下山します。通称「翔平ルート」。名付け方が安易過ぎますがそんなこと気にしない。

上りと下りでルートを使い分ける二刀流で参りましょう。さっきも同じこと言った様な気がしますがそんなこと気にしない。

 

この大谷尾根ルートも登山客は減りますが、すごく整備されてて歩きやすかったです。子供でも安心して歩けます。

 

「オオタニサ~ン」の神カーブばりのねじれ具合です。

 

大谷尾根を歩いてると、かもしか新道、かもしか旧道との分岐がでてきます。

下山するところが全然違うので間違えない様に気をつけましょう。ここは大石バス停方面へ。

 

分かりにくいけど全体的にこんな感じです。

 

もうすぐ下山完了です。

鳥越峠への案内がでてきます。

途中ですれ違った人が強烈で、

「しゃーもんね、しゃー、しゃー、しゃーやけん、しゃーやもんね」

「しゃー」しか聞き取れんかったです。。

 

高電線の下を通過。お決まりのアングル。

 

すっごく簡単に書いてしまった大谷翔平尾根ルートですがこれでおしまい。

ここからは林道を左に折れて車を止めた場所へ移動しますが、バス利用者は道なり真っ直ぐ行けば大石のバス停方面に出られます。

 

しかし今日は思いがけず楽しかったな。

そして無事に下山できて良かったよ。

林道の途中でアザミがたくさん咲いてました。

 

振り返って

平成最後の登山は、万葉集で「令和」誕生のきっかけとなった太宰府の山へ。

たまたまタイミングが時代の変わり目になってしまいましたが、別に狙ったわけではありません。

なので、今思えば平成最後ではなく、令和1発目に選べば良かったな。。

 

猫谷川ルートは散々書いた通り不明瞭なポイントが多くあまり薦められませんが、こっちの方が登りやすいだろうなと等高線や目の前の状況を見て考えながら登る楽しみがありました。

自分は経験値が少ないのですごくドキドキしましたが、山に慣れてる人ならちょっと物足りないかもです。ルートが不明瞭なだけで危険箇所は特にありませんので。ただ、道に迷った挙げ句、沢を下るのは事故の元なので、どうぞお気をつけて下さい。

まあ、自分は下山で利用した大谷尾根みたいに安心して歩けるルートを断然お薦めするけどね!

 

大谷尾根ルートの下山中にすれ違ったお姉さんと「大谷尾根は良いルートですね」と話すと「ええ、表なんかよりよっぽど(笑)」と言ってたのが印象的でした。

でもまっ、ほんとキャンプ場と山頂に着いた時の宝満山の登山客の多さには驚きました。

この山頂の賑わいの中にもし山にハマってしまったと言う方がいれば、次はぜひ大谷尾根ルートを歩いてもらいたいです。そうすれば登山がもっと楽しくなると思います。

複数の登山道を持つ山はたくさんありますが、低山でこれだけ多くのルートが存在するのはとても珍しいと思います。

しかも表と裏で全然違った山登りができるなんて、宝満山以外には東京の高尾山ぐらいしか思い当たりません。もしかすると高尾山よりルートは多いかもしれません。

令和が生まれた太宰府で、平成最後の登山が宝満山の良いところを見つける旅になって本当に良かったです。

ではでは

 

 


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